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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻7号

1998年07月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・141

虹彩後面の加齢変化と落屑症候群

著者: カリルアハマド1 久保田敏昭1 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1222 - P.1223

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 虹彩後面には虹彩色素上皮細胞の基底膜があり,これに加齢変化が観察される。若年者の虹彩色素上皮細胞の基底膜は均一な単一層をなし,細胞膜の陥入が存在する部分でも,陥入の入り口を乗り越えて広がっている。基底膜の周囲には細線維や顆粒状物質は観察されない(図1)。
 一方,高齢者では,虹彩色素上皮細胞に加齢による変性が生じ,細胞膜陥入は幅広く,深く,しかも不整になる。虹彩色素上皮細胞の基底膜は多層化する(図2,3)。多層化した基底膜の周囲には,弾性組織マイクロファイブリル(oxytalan)の特徴を持つ多量の細線維が沈着している。細線維の直径は11〜13nmで,12〜16nmの周期性の縞模様がみられる(図4)。この断面は四角形から六角形をなし,中心は高電子密度で周辺はやや明るい管構造を持ち,チン小帯の断面に似ている(図5)。また基底膜あるいは細線維に関連して高電子密度の顆粒状物質の沈着が高頻度にみられる(図3)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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