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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻8号

1998年08月発行

文献概要

臨床報告

虹彩レトラクターを使用した白内障手術後の瞳孔動態

著者: 湯口琢磨1 大鹿哲郎2 沢口昭一3 海谷忠良1

所属機関: 1聖隷浜松病院眼科 2東京大学医学部眼科学教室 3琉球大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1395 - P.1400

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 小瞳孔を伴い,虹彩レトラクターを用いて超音波白内障手術・眼内レンズ挿入術を行った11例12眼の術後瞳孔動態について検討した。瞳孔動態は,イリスコーダを用いて測定し,合併症のない白内障手術患者20例20眼をコントロールとし,比較した。虹彩レトラクター使用群は,光刺激後の最小瞳孔面積値が有意に高値を示し,縮瞳率,散瞳速度の最高値,縮瞳速度の最高値が有意な低値を示した。ピロカルピン長期点眼例や,虹彩レトラクター装着時の瞳孔面積が25mm2を超える例では,さらに初期状態の瞳孔面積値も有意な高値を示し,弛緩し,運動の乏しい瞳孔になりやすいことが示された。縮瞳率は長期間低値のままのものが多く,不可逆性の瞳孔括約筋の障害が生じていることが疑われた。小瞳孔例に虹彩レトラクターを用いる場合は瞳孔括約筋の断裂により瞳孔運動が障害されやすく,特に縮瞳や器質化の強い症例には過度の拡張は避けるべきことが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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