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文献概要
連載 眼の組織・病理アトラス・143
オンコセルカ症
著者: 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1588 - P.1589
文献購入ページに移動 オンコセルカ症onchocerciasisは,糸状虫の1種である回旋糸状虫Onchocerca volvulusの感染によって生じる寄生虫病で,ブユblackfly(Simulium)によって伝搬する。アフリカと中南米に分布し,全世界で約2,000万〜3,000万人の患者がいるといわれる。川の周辺で発病し,眼も冒されて失明するので,「河川盲目症」river blindnessとも呼ばれる。
オンコセルカの雌雄成虫は皮下などにできたオンコセルカ腫瘍onchocercomaの中に数匹が絡み合って寄生している(図1)。雌の体長が50〜100cm,雄はわずかに2.5〜5.0cmである。その仔虫であるミクロフィラリアの体長は約300μmである(図2)。終宿主はヒトが主体で,通常は体表に近いリンパ腔に入っている。中間宿主である雌のブユが終宿主のヒトから吸血するときに,感染幼虫が刺孔から侵入し,成長して皮下に腫瘤を作る。これがオンコセルカ腫瘤である。感染幼虫はヒトの皮下で成熟して結合組織に包まれて,10〜15年くらいはそこで生きている。腫瘤内の雌から生み出されたミクロフィラリアが自力で周囲を動き回り,皮膚炎(図3)などの皮膚病や眼病を起こす。ミクロフィラリアの寿命はブユで吸い取られないかぎり6〜30か月である。
オンコセルカの雌雄成虫は皮下などにできたオンコセルカ腫瘍onchocercomaの中に数匹が絡み合って寄生している(図1)。雌の体長が50〜100cm,雄はわずかに2.5〜5.0cmである。その仔虫であるミクロフィラリアの体長は約300μmである(図2)。終宿主はヒトが主体で,通常は体表に近いリンパ腔に入っている。中間宿主である雌のブユが終宿主のヒトから吸血するときに,感染幼虫が刺孔から侵入し,成長して皮下に腫瘤を作る。これがオンコセルカ腫瘤である。感染幼虫はヒトの皮下で成熟して結合組織に包まれて,10〜15年くらいはそこで生きている。腫瘤内の雌から生み出されたミクロフィラリアが自力で周囲を動き回り,皮膚炎(図3)などの皮膚病や眼病を起こす。ミクロフィラリアの寿命はブユで吸い取られないかぎり6〜30か月である。
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