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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科53巻1号

1999年01月発行

文献概要

臨床報告

ケースコントロールスタディによる未熟児網膜症進行因子の検討

著者: 稲田晃一朗1 近藤裕一2 村田恭啓3 根木昭3

所属機関: 1いなだ眼科 2熊本市民病院眼科 3熊本大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.63 - P.68

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 1993〜94年に熊本市民病院NICUに入院した654症例を対象とし,在胎週数と出生体重をマッチさせた18例において,ケースコントロールスタディを行い,重症未熟児網膜症(ROP)の網膜光凝固治療(一部網膜冷凍凝固追加)を行った群と無治療(コントロール)の群で,ROPの進行に関連する因子を検討した。結果は,ROP治療群の78%に慢性肺疾患が,28%に肺性心がみられ,コントロールの61%,11%よりも多い傾向にあった。特にウィルソン-ミキティ症候群が前者の33.3%にみられ,後者の5.6%より有意に多かった。また,治療群の3例に死亡,1例に虚血性脳症がみられた。眼底の無血管野は,治療群のほうがコントロール群よりも広かった。眼球発育の未熟性が強く,かつ慢性肺疾患など呼吸機能障害の強い例にROPの進行がみられたと考えられ,その場合には全身的にも予後不良の例が多く,長期にわたる十分な管理が必要と思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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