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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科53巻10号

1999年09月発行

文献概要

特集 インフォームドコンセント時代の眼科外来診療マニュアル—私はこうしている 集学的治療に必要な他科の知識

AIDS—いま,内科では

著者: 増田剛太1

所属機関: 1東京都立駒込病院感染症科

ページ範囲:P.248 - P.249

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CD4+リンパ球数減少と免疫不全
 AIDS (acquired immunodeficiency syndrome:後天性免疫不全症候群)は1980年代に登場した疾患であり,代表的な新興感染症(emerging infec-tious disease)の1つである。この疾患の病態は,高度に障害された免疫機能と,それを基盤として発症する各種日和見疾患の存在によって特徴づけられる。免疫機能不全を惹起する原因物質はHIV(human immunodeficiency virus)であり,このウイルスがヒトの免疫機構の中心的役割を担うCD4+リンパ球に感染し,長い年月(数年から十年あるいはそれ以上)をかけてこのリンパ球を破壊,減少させ宿主を免疫不全へと導く。正常宿主でのCD4+リンパ球数は700〜1,000/μlであるが,HIV感染宿主ではその数が毎年40〜60/μlの速度で減少する。リンパ球数が500/μl以下になると細菌性肺炎,単純ヘルペス感染症(再発性),帯状疱疹(再発性),口腔内カンジダ症や肺結核の発症頻度が高くなる。また,下痢や発熱の間欠的発現や体重減少が証明される症例もある。AIDS発症の指標疾患であるカポジ肉腫や悪性リンパ腫がこの段階で証明されることもある。
 CD4+リンパ球数が200/μl以下になるとニューモシスチス・カリニ肺炎,カンジダ性食道炎,クリプトコッカス髄膜炎,カポジ肉腫などの難治性,致死的疾患を合併してAIDSを発症する可能性が高くなる。リンパ球数が50/ul以下と著しく減少するとサイトメガロウイルス(CMV)や非定型抗酸菌(MAC)による全身感染症を発現するようになる(図)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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