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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科53巻11号

1999年10月発行

文献概要

臨床報告

光凝固療法を試みた腎癌原発の転移性脈絡膜腫瘍の1例

著者: 大内雅之1 池田恒彦2

所属機関: 1公立南丹病院眼科 2大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1803 - P.1808

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 42歳女性が右眼の変視症と進行性の視野欠損で受診した。裸眼視力は右1.0,左1.5であった。右眼底の耳側下方に10乳頭径大の黄色の隆起性病変があり,左眼底の鼻側下方に5乳頭径大の黄色の扁平な病変があった。螢光眼底造影で,点状で始まり拡大癒合する過螢光と,その周囲に低螢光があった。超音波とCT検査で充実性の腫瘍陰影が脈絡膜にあった。全身検査で左腎肥大があり,腎摘出の結果,腎原発の転移性脈絡膜癌と診断した。癌転移は,肺.肝臓,副腎にもあった。存命中の視機能保存を目的として,脈絡膜腫瘍へのアルゴンレーザー光凝固を行った。右眼は網膜全剥離で失明したが,左眼は初診から8か月後に死亡する2か月前には1.2の視力,1か月前には0.4の視力が保持できた。本症例は,腎癌が脈絡膜に転移した稀な例であることと,光凝固が有効であったことが注目される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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