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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科53巻11号

1999年10月発行

文献概要

臨床報告

高齢者に発症した悪性視神経膠腫の1例

著者: 伊田宜史1 戸部隆雄1 宇山昌延1 山本雅清2 山内康雄2

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室 2関西医科大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.1819 - P.1823

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 76歳の男性に発症した悪性視神経膠腫の1例を経験した。腫瘍は視交叉近傍の左視神経に発生し,視路を前方と後方へ急速に進展した。左眼には腫瘍浸潤によるうっ血乳頭と硝子体出血,右眼には視神経萎縮がみられ,両眼の球後視神経炎と思われた。しかしMRIではT1強調画像で,ガドリニウムで増強された腫瘤が視交叉を含み,左視神経から視放線に拡がっていた。発症後3か月で両眼が失明した。脳外科医による脳内腫瘍の生検で,悪性視神経膠腫と確定診断し化学療法を行ったが,6か月後に死亡した。本症は悪性であり,かつ腫瘍の進行が早いので,画像による早期診断が必要である。高齢者に発症する原因不明の視神経炎では,頭蓋内疾患を十分に検索する必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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