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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科53巻13号

1999年12月発行

文庫の窓から

眼療器具の種々(2)—江戸時代眼科諸流派の古写本に見る

著者: 中泉行史1 中泉行弘1 斎藤仁男1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.2010 - P.2011

文献概要

 前回,江戸時代の眼科各流派の古写本に収められている眼療器具の名称を列記したが,もう少し紹介しよう(下表参照)。
 このように17世紀から19世紀の間のごく限られた眼科諸流派の眼療器具の名称などを列挙したが,その種類は時代が後世に及ぶほど多くなり,その改良や進歩の跡がうかがえる。特に従来の馬島流眼科に大改良を加えた漢蘭折衷眼科の「眼科集要折衷大全」(馬島円如著)や「続眼科錦嚢」(本庄普一著)以降,洋式眼科を採り入れた眼科書に所載された眼療器具をみる限り,その進歩は以前と比べて格段の差が認められる。このことは,口伝や秘伝をもって一子相伝の非公開時代と蘭方の西洋式眼科を導入した公開時代の差を意味するものであろうか。それにしても,あらゆる面で科学的環境の整っていなかった時代に,こうした立派な眼療器具を次々と考案し,創作してきた先人たちの努力は真に貴重なもので,今日の医療器具発達の礎となっている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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