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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科53巻2号

1999年02月発行

雑誌目次

連載 今月の話題

Uveal effusion syndromeの病態,診断と治療

著者: 高橋寛二

ページ範囲:P.119 - P.127

 Uveal effusion syndrome (脈絡膜滲出症)は何ら誘因なく眼底全周の脈絡膜剥離とともに胞状の滲出性網膜剥離をきたす疾患である。本症は強膜が厚く硬いことによって,強膜を通る眼内液の眼外への流出が障害され,眼内液が脈絡膜に貯留することが原因であり,強膜に病因がある。病型には真性小眼球nanophthalmosを伴うI型と,nanophthalmosのない正常の大きさの眼に起こるII型がある。厚く硬い強膜は,組織学的に膠原線維の配列の乱れと強膜基質への異常なプロテオグリカンの沈着によることが解明され,インドシアニングリーン螢光眼底造影によって脈絡膜に強い血流うう滞と血管透過性元進があることが判明している。治療には,強膜を通る眼内液の流出障害を解除するため,脈絡膜を大きく露出する強膜開窓術を行うと奏効する。

眼の組織・病理アトラス・148

側頭動脈炎

著者: 猪俣孟 ,  

ページ範囲:P.128 - P.129

 側頭動脈炎temporal arteritisは,巨細胞動脈炎giant cell arteritis,あるいは頭蓋動脈炎cranialarteritisとも呼ばれる原因不明の疾患で,50歳台以上の高齢者に発症する。とくに頸動脈とその分枝の中動脈にみられる閉塞性動脈炎である。
 発症は緩徐で,いつ発症したのか不明なことが多い。一般に,眼症状が発現する1〜4週間前に全身症状が出現し,数週間後に突然の視力障害を自覚する。側頭部および後頭部の頭痛,側頭部皮膚および頭皮の過敏性,発熱,食欲不振,倦怠などを訴える。側頭部皮膚の過敏性と側頭動脈の怒張蛇行から,本症と気づかれることが多い。血沈の亢進は有力な診断根拠になる。逆に,全身症状が出現する前に眼症状のみがみられる例では,側頭動脈を生検すると,動脈炎が証明されることがある。これを潜伏側頭動脈炎occult temporal arteritisと呼ぶ。

眼科手術のテクニック・110

トラベクレクトミー—過剰濾過をどうするか

著者: 黒田真一郎

ページ範囲:P.130 - P.131

 大きく術後早期(約1か月以内)の場合と,後期の場合(1か月以後)とに分けて考えてみる。

今月の表紙

酵母型真菌による白内障手術後眼内炎

著者: 内尾英一 ,   大野重昭

ページ範囲:P.132 - P.132

 白内障手術後眼内炎は,通常急性の経過をとり,細菌によることが多い。良好な視力を得るために早期の硝子体手術が行われているが,真菌による術後眼内炎の報告は稀である。
 症例は70歳,特に内科的疾患のない男性で,超音波水晶体乳化吸引術および眼内レンズ挿入術後3年目に硝子体混濁が生じた。10か月経過しても改善せず,軽度の虹彩毛様体炎および眼内レンズ辺縁に沈着物(上図)がみられた。眼底下方に網膜剥離もみられたために硝子体手術を行った。原因裂孔は9時にあり,摘出された眼内レンズ表面から走査型電子顕微鏡にて酵母型真菌が同定された(下図,表紙)。術前および術中に採取された前房水および硝子体からは細菌・真菌は分離されなかった。術後,網膜は復位した。白内障手術後眼内炎の病因には,真菌も考慮する必要がある。

臨床報告

発症初期からインドシアニングリーン螢光造影を施行した急性網膜壊死が考えられた1例

著者: 松下倫子 ,   河野剛也 ,   白木邦彦 ,   萩原善行 ,   三木徳彦

ページ範囲:P.137 - P.143

 インドシアニングリーン(ICG)螢光造影により,発症初期からさまざまな脈絡膜病変がみられた急性網膜壊死と考えられた1例を経験したので報告する。症例は30歳男性,ICG螢光造影の原画像では脈絡膜充影遅延は明らかではなかったが,サブトラクション法により脈絡膜静脈の流入遅延がみられた。造影中期には,脈絡膜内ICG螢光漏出がみられ,脈絡膜血管の透過性が充進していた。造影後期では,螢光造影で異常のない部位に,斑状,島状の低螢光が認められ,網膜色素上皮下のブルッフ膜もしくは脈絡膜内の病変が考えられた。ICG螢光造影は,急性網膜壊死が考えられる症例の脈絡膜病変の詳細な検討に有用であった。

トラニラスト点眼により緑内障手術後濾過胞が良好に保たれた1例

著者: 杉山哲也 ,   清水一弘

ページ範囲:P.145 - P.148

 水晶体嚢性緑内障の63歳女性に両眼の線維柱帯切除術(マイトマイシンC併用)を行った。術後1か月で右眼の濾過胞がやや平坦化してきたため,右眼のみトラニラスト(リザベンR)点眼を開始した。2週間後には濾過胞が良好に形成され,以後約9か月の観察期間中,維持されており,眼圧も9〜13mmHgにコントロールされている。一方,左眼は術後1か月では比較的良好な濾過胞が形成されていたが,その後徐々に腰痕化が進み,眼圧も上昇傾向にある。左右眼のその他の治療には差がないことから,トラニラスト点眼が濾過胞の形成.維持に効果的であったと考えられる。

緑内障での視野障害を反映するHRTパラメータ

著者: 中村弘 ,   林康司 ,   前田利根 ,   井上洋一

ページ範囲:P.149 - P.152

 開放隅角緑内障63眼につき,視野障害とHeideiberg Retina Tomographで得られる視神経乳頭の部位的指標topographic parameterとの関係を検索した。後者については,視神経乳頭耳側の−45°から+45°の成分を算出し,Octopus−201の第31プログラムの平均沈下mean lossとの関係を重回帰分析法で解析した。その結果,視野の平均沈下とは,cup shape measureのみが有意の関係にあった(p<0.05,T=2.474)。以上から,cup shape measureは,視野障害の程度を反映する有用なパラメータであると考えられた。

アデノウイルス・クラミジアの重複感染による急性濾胞性結膜炎の2例

著者: 溝口晋弘 ,   内尾英一 ,   伊藤典彦 ,   青木功喜 ,   大野重昭

ページ範囲:P.153 - P.156

 アデノウイルス,クラミジアがともに検出された急性濾胞性結膜炎の2例を報告した。症例はいずれも30歳台の男性で,中等度の片眼性急性濾胞性結膜炎を呈した。結膜擦過物から両例ともアデノウイルスが分離され,迅速診断法によりChlamydia trachomatisが検出された。1例には性感染症の既往歴があった。アデノウイルス,クラミジアの両者は病初期にはともに急性濾胞性結膜炎を呈し,鑑別診断は困難である。泌尿生殖器はクラミジアとアデノウイルスの感染経路となることに注意が必要である。性的活動の盛んな年齢では,重複感染の可能性を念頭に置き,迅速診断法を含めた病因診断に基づく適切な治療,感染予防が必要である。

眼球突出と複視で発見された急性骨髄性白血病の1例

著者: 西野和明 ,   大塚賢二 ,   五十嵐保男 ,   鈴木信宏 ,   母坪智行 ,   三浦純一 ,   工藤亨

ページ範囲:P.157 - P.161

 左眼の眼球突出と複視を主訴として眼科を初診した,急性得髄性白血病の1例を報告した。患者は15歳の男児で,初診時に,左上眼瞼の腫脹と眼球突出および左眼の上転制限がみられた。磁気共鳴画像(MRI)を行ったところ,冠状断撮影で左眼の上眼瞼挙筋と眼窩上壁の間に,外眼筋とほぼ信号強度が同一な腫瘤陰影がみられ,眼球を下方に圧排していた。また右眼にも左眼より小さな腫瘤陰影が,同じ部位にみられた。左眼の視神経に沿った矢状断撮影では,視神経の腫大と上顎洞の上部に腫瘤陰影がみられた。入院中,原因不明の発熱が持続したため,小児科を受診したところ。右下肺野に異常陰影がみられ,血液検査および胃髄穿刺にて,French-American-British (FAB)分類でM2の急性骨髄性白血病と診断され,本症の眼窩および上顎洞の腫瘤性病変は緑色腫(chloroma)と考えられた。

視力喪失が初発症状の腎原発全身性転移癌

著者: 豊田博美 ,   深沢伸一 ,   砂川光子

ページ範囲:P.163 - P.165

 57歳男性で,視力低下が初発症状の腎原発全身性転移癌の1症例を報告した。初診日の1週間前に突然左眼の視力喪失を訴えた。原発巣の症状は全くなかったが,既に全身の骨および脳に転移しており,腫瘍による視神経の直接圧迫による視力低下と考えた。以後,徐々に重篤な全身症状が出現し,患者の希望により放射線療法を行った。放射線療法施行後MRIで腫瘍は明らかに増大しており,放射線療法の効果はなかったが,ターミナルケアの場面では,患者のquality of lifeの向上を第一に,治療方法を選択することが重要であると考えられる。

レーベル病と多発性硬化症が合併した1例

著者: 坂本英久 ,   西岡木綿子 ,   山本正洋 ,   猪俣孟 ,   水島明 ,   真島行彦

ページ範囲:P.167 - P.171

 レーベル病と多発生硬化症の合併例を経験した。症例は18歳,女性。ミトコンドリアDNA解析で11778変異を認め,レーベル病と診断した。病初期の片眼性の視力低下に副腎皮質ステロイド薬が著効し,病状には増悪と寛解がみられた。両眼性の視力低下を発症してから,副腎皮質ステロイド薬への反応は悪くなった。MRI検査で,視神経および視交叉に脱髄所見があった。本症例は,レーベル病としては非典型的であった。経過中,MRI検査で脊髄にも脱髄病変を確認し、多発性硬化症とも診断した。本症例は,多発性硬化症による球後視神経炎が初めに発症し,その後レーベル病が発症した。

網膜の滲出性変化で発症した網膜静脈分枝閉塞症の1例

著者: 小柳賀子 ,   栄田裕子 ,   小川月彦

ページ範囲:P.173 - P.176

 60歳男性が1週間前に右眼の中心暗点を自覚した。右眼視力は0.4であった。右眼黄斑部に1乳頭径大の卵円形の漿液性網膜剥離があり,その縁に硬性白斑があった。上耳側静脈が狭細化し,透過性亢進があった。4週後に上耳側の網膜静脈分枝閉塞症の所見が生じた。血栓溶解剤の全身投与で、初診から10週後に視力は1.0に改善した。本症例は,網膜の滲出性変化が網膜静脈分枝閉塞症の前段階として生じる場合のあることを示している。

東京医科大学眼科における全層角膜移植術—過去10年間の成績

著者: 浅谷哲也 ,   村松隆次 ,   臼井正彦

ページ範囲:P.177 - P.181

 1984年10月から1994年一月までの10年間に,東京医科大学眼科において行った143例162眼の全層角膜移植術の手術成績を検討した。その結果,1)水疱性角膜症が移植適応症例全体の41.4%を占め,その約半数に前房レンズが関係していた,2)透明治癒率は術後一年目で87.3%,5年目では68.8%であった。3)拒絶反応発症率は25.9%で、そのうち42.9%が移植片の混濁を生じた,4)白内障との同時手術(tripie手術)は術後成績からも有効な術式であることが示された,5)Optisol®(Chiron社製)保存液による強角膜片の長時間の保存が可能となり,計画的角膜移植術が可能となった。

全層角膜移植術に対するシクロスポリン全身投与の長期予後

著者: 井上賢治 ,   木村内子 ,   天野史郎 ,   佐藤孜 ,   藤田南都也 ,   加賀谷文絵 ,   加治優一 ,   水流忠彦 ,   新家眞

ページ範囲:P.183 - P.187

 拒絶反応のハイリスクと考えられる全層角膜移植術例26名27眼に対し,シクロスポリン全身投与を術後平均5.4か月行い,長期予後と副作用をシクロスポリン不使用の対照群(57名57眼)と比較した。シクロスポリン投与中に内皮型拒絶反応が2例,中止後に6例出現した。拒絶反応非発生率はシクロスポリン投与群,対照群間に有意差がなく,移植片透明治癒率はシクロスポリン投与群で有意に低下していた。一過性BUNまたはクレアチニン値上昇が7例,GOTまたはGPT値上昇が4例あったが,重篤な副作用はなかった。短期的なシクロスポリン全身投与は,ハイリスク全層角膜移植例に対し拒絶反応抑制および透明性維持への長期効果を示さなかった。

Human immunodeficiency virus感染を合併した梅毒性ぶどう膜炎の1例

著者: 池田宏一郎 ,   渡瀬誠良 ,   川村洋行

ページ範囲:P.193 - P.196

 梅毒性ぶどう膜炎の発症がきっかけとなり,human immunodeficiency irus (HIV)感染が判明した1例を報告した。症例は57歳男性で,2か月前から続く右眼飛蚊症および視力低下を主訴に受診し,右眼硝子体に索状混濁を,眼底に網膜静脈周囲炎をみた。血液検査にて梅毒反応強陽性で肛門周囲には扁平コンジローマがみられ,患者に同意を得て行ったHIV検査は陽性であった。駆梅療法で約4か月でぶどう膜炎は消退した。梅毒性ぶどう膜炎をみた場合には,HIV検査も必要と思われた。

緑内障手術既往眼に対するシヌソトミー併用トラベクロトミー

著者: 久保田敏昭 ,   猪俣孟

ページ範囲:P.199 - P.201

 目的:過去に緑内障手術を1回以上受けた後に眼圧コントロール不良となった症例に対するシヌソトミー併用トラベクロトミーの手術効果を検討する。
 対象と方法:手術後少なくとも6か月間経過を観察できた5例7眼である。症例は年齢15〜46歳(平均:28.2±11.8歳)の隅角発育異常緑内障で,全員男性であった。過去の緑内障手術は線維柱帯切除術1回が2眼,MMC併用線維柱帯切除術1回が1眼,線維柱帯切除術1回+MMC併用線維柱帯切除術1回が1眼,線維柱帯切開術1回が2眼,線維柱帯切除術1回+線維柱帯切開術1回が1眼であった。
 結果:術前は全例内服治療と点眼治療を受けており,平均眼圧は32.9±5.2mmHgであった。最終観察時の術後眼圧は平均16.6±2.9mmHgであった。前房出血は全例14日以内に消失した。
 結論:シヌソトミー併用トラベクロトミーは隅角発育異常緑内障に対する追加手術として有効である。

浅前房を伴わない原田病患者の毛様体脈絡膜剥離

著者: 三浦真二 ,   高木均 ,   種村舞 ,   岡本好夫 ,   喜多美穂里 ,   小椋祐一郎

ページ範囲:P.203 - P.207

 背景:原田病では,毛様体脈絡膜剥離が超音波顕微鏡(ultrasound biomicroscope:UBM)で高頻度に観察され,これが浅前房の原因であるとされている。
 症例:原田病の3症例6眼を副腎皮質ステロイドのパルス療法前後でUBMで検索した。全例で前房深度は正常であった。全例に眼底後極部の漿液性網膜剥離があり,虹彩炎は1例2眼のみにあった。
 所見:急性期では,検眼鏡的には観察できない毛様体脈絡膜剥離がUBMで同定された。副腎皮質ステロイド療法で網膜剥離が寛解した時期では,毛様体脈絡膜剥離も消失していた。
 結論:原田病の急性期では,前房深度が正常であっても,毛様体脈絡膜剥離が好発する。UBMを使って脈絡膜上腔の滲出の状態を検索することが,原田病の診断と治療の指針として利用できる可能性がある。

微度色覚異常

著者: 田邊詔子 ,   深見嘉一郎

ページ範囲:P.209 - P.211

 スクリーニング検査で検出困難なごく軽度の第1・第2色弱60例の色覚検査成績を検討した。このような微度色覚異常は,アノマロスコープでは定型的な第1色弱または第2色弱の均等を示すが,仮生同色表の誤読数が正常範囲で,ランタンテストの誤りも少ない。しかし,色識別の予備能力が乏しく,視認条件によっては赤緑異常に特有の色誤認をすることがあるので,色覚異常であることを自覚させておく必要がある。したがって,スクリーニンク検査はできるだけ巌密に行わなければならない。

視野障害を初発とした脳内angiotropic lymphoma

著者: 西尾佳晃 ,   鎌田芳夫 ,   浅野次義

ページ範囲:P.213 - P.218

 視野障害を初発とし,多彩な中枢神経症状をきたした極めて稀なangiotropic lymphomaの症例を経験したので報告した。48歳の男性で,視力は正常で,右下1/4同名半盲を呈した。神経学的症候として,純粋失読,相貌失認,構語障害がみられた。脳のMRIでは,T1強調画像にて高信号を示す領域が後頭葉皮質と脳梁膨大部に描出された。脳生検による病理組織学的検索を行い,angiotropiclymphomaと診断された。多剤併用化学療法(doxorubicin hydrochioride・cyclophosphamide・vincristinesulfate・etoposide)を6クール施行し,症状は寛解した。

カラー臨床報告

小児AIDS患者にみられた肉芽腫性前部ぶどう膜炎

著者: 後藤浩 ,   柏瀬光寿 ,   臼井正彦 ,   河島尚志

ページ範囲:P.133 - P.136

 後天性免疫不全症候群の患者に発症した,肉芽腫性前部ぶどう膜炎の一症例について報告した。症例は9歳の男児で,血液製剤の輸注により7歳時にヒト免疫不全ウイルスの感染が判明し,以来慢性気管支炎やカンジダ症に対して治療が行われてきた。眼科初診時,右眼には多数の虹彩結節を伴った虹彩毛様体炎がみられ,その後3年間にわたって再発と寛解を繰り返した。左眼にも同様の前部ぶどう膜炎が発症したが,両眼とも全経過を通じて眼底などには異常を認めなかった。前部ぶどう膜炎の発症,再燃時は常に極度の免疫抑制状態にあり、本症の発症との因果関係が推察された。

日眼百年史こぼれ話・2

ヘルムホルツ検眼鏡

著者: 三島濟一

ページ範囲:P.156 - P.156

 検眼鏡は近代眼科学を生んだ大発見(1851年)で,この検眼鏡の実物がほとんど完全な形で東京大学眼科に保存され,箱には帝国大学備品と記されている。また,東京大学中央図書館の河本文庫にはヘルムホルツの原著がある。
 さて,この検眼鏡がどうして東京大学眼科に残ったのか,古い記録は失われ,もう知る由もない。私が東大教授に昇任して3年後,古い眼科教室(明治29年竣工)を移転する時,古ぼけた段ボール箱の中からこの検眼鏡を見つけ,驚いたのもつい昨日のように思われる。

文庫の窓から

高野長英著訳述の眼科書について

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   斎藤仁男

ページ範囲:P.220 - P.221

 幕末におけるオランダ医学の先覚者,高野長英(1805〜1850)の波瀾に満ちた生涯についてはよく知られているところであるが,蘭方医家として近代眼科書の著訳述にも努力したことを看過することはできない。
 『高野長英伝』(高野長運編)によれば,高野長英生涯の著訳書は49部数百巻にのぼると推測されている。このうち,眼科に関係あるものは『西説医原枢要』と『眼目究理篇』などである。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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