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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科53巻3号

1999年03月発行

文献概要

臨床報告

石灰化した内頸動脈による偽緑内障の1例

著者: 西野和明1 梅本亨1 斎藤一宇1 斎藤三恵子1 勝島晴美2 青木毅3

所属機関: 1医療法人社団ひとみ会回明堂眼科 2札幌医科大学医学部眼科学教室 3柏葉脳神経外科病院

ページ範囲:P.457 - P.460

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 石灰化した内頸動脈が原因と考えられた偽緑内障の1例を報告した。症例は61歳女性で,近方視力低下を主訴として来院した。眼圧は両眼13mmHg,視神経乳頭には両眼ともに垂直C/D比が大きく篩状板部も透見可能な深い陥凹がみられ,視野検査では右眼に大きな弓状暗点,左眼に孤立暗点と鼻側段階が検出された。正常眼圧緑内障が考えられたが、除外診断の目的にて頭蓋内病変をCTおよびMRI検査にて検索したところ,右内頸動脈の海綿静脈洞部に著明な石灰化病変がみられた。脳血筥造影では,海綿静脈洞部から末端部(Cl〜C3 segment)にかけて,嚢状動脈瘤を伴うS字状に屈曲蛇行し拡張した内頸動脈が確認された。正常眼圧緑内障と診断される症例の中には,本症のように頭蓋内の血管性病変が視神経を圧迫する偽緑内障が存在することもあり,注意が必要と思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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