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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科53巻3号

1999年03月発行

文献概要

臨床報告

術後前房出血の吸収が遷延した偽水晶体眼の症例

著者: 満川元貞1 遠藤紳一郎12 藤澤佐代子1 橋本義弘1 石田誠夫12 山口達夫2

所属機関: 1石田眼科医院 2聖路加国際病院眼科

ページ範囲:P.488 - P.492

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 遷延化した前房出血を白内障手術後に呈した68歳女性の偽水晶体眼を1例経験した。出血は白内障術中に生じ,術中の止血は不可能であった。術後約1か月で出血は消退し,眼内レンズ前後面に嚢内血腫を形成した。その後,患者本人の希望で外科的治療は施行せず,血腫の吸収の徴候は9か月間みられなかった。全身検査を行ったが,吸収遷延の原因となるような所見はみられなかった。術後10か月目で血腫は吸収され,嚢内に膜形成を残したが,裸眼視力1.2にまで回復した。出血の原因,および遷延化した血腫が吸収された機序は不明であった。遷延化した前房出血は,長期間経過してもなお保存的療法で視力回復する例があると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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