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連載 眼の組織・病理アトラス・150
眼瞼のメルケル細胞癌
著者: 吉川洋1 石橋達朗1 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.514 - P.515
文献購入ページに移動メルケル細胞癌は,肉眼的に鮮やかな紅色を呈するのが特徴である。正常のメルケル細胞は表皮に存在するが,メルケル細胞癌は真皮浅層に発生して表皮を押し上げ,ドーム状の隆起を形成する(図1)。腫瘍を覆う表皮は萎縮して菲薄化するが,通常腫瘍が表皮に浸潤することはない。腫瘍塊は大型円形の核を持ち,細胞質に乏しい腫瘍細胞が密に増殖する(図2)。一見リンパ腫に類似するが,免疫組織化学的にケラチンが陽性である。ときに腫瘍細胞が数珠状に連なって見えることから,trabecular carcinomaの名がある。電子顕微鏡で,腫瘍細胞内に,膜に囲まれた直径100〜150nmの暗調穎粒(メルケル細胞穎粒)が観察される(図3)ことが診断上もっとも重要であるo免疫組織化学的にNSE (neuron specific enolase)の陽性率が高い(図4)。その他,Grimelius染色,neurofila-ment,chromogranin,synaptophysinなどの神経内分泌系細胞のマーカーも診断の補助になる。
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