文献詳細
特集 第52回日本臨床眼科学会講演集(4)
学会原著
文献概要
(C2-3-5) 通常の全層角膜移植術が不可能な広範囲の角膜潰瘍3症例に対して,強角膜を一塊として縫着する強角膜移植術を施行した。症例はいずれも潰瘍発症から長期間を経過した,穿孔か角膜ブドウ腫を伴った感染性角膜潰瘍で,本手術により視力は手動弁以下から最良矯正視力0.4から0.8までに改善した。眼圧は2例で術後上昇し,薬物治療を必要とした。フォトケラトスコープではおおむね良好な角膜形状を呈しており,また術後の内皮細胞密度は2,300から2,800cells/mm2を保っていた。シクロスポリンの投与により3症例とも現在まで拒絶反応は認めない。強角膜移植術は広範囲の角膜潰瘍に対する,視力回復を目的とした前眼部再建術の選択肢の1つとなり得る。
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