今月の表紙
脈絡膜剥離
著者:
高野良真1
長屋慶1
玉井信1
所属機関:
1東北大学眼科
ページ範囲:P.1627 - P.1627
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症例は62歳の男性で左眼霧視・視力低下を主訴に来院した。視力は右0.2(矯正不能),左0.1(矯正不能),眼圧両側10mmHg,眼底は両眼とも耳側,鼻側を中心に強い脈絡膜剥離を認めた(表紙写真は右眼)。螢光眼底像では原田病に特有な漿液性剥離はみられない(図1右眼)。既往歴として高血圧(+),大腸ポリープ(受診2年前,ポリペクトミー施行),糖尿病(−),眼疾患(−),家族歴として父が12歳時に左眼失明(詳細不明),父方叔父が全盲(詳細不明)であった。原田病,idiopathic uveal effusionなどが疑われ,髄液穿刺を施行したところ,細胞増多(120)(mono 116,poly 4),protein 43を示し,HLAは,A2,A33(19),B27,B60(40),Cw4,Cw7,DR4,DR12(5)であったため,原田病と診断した。第24病日からプレドニゾロン100mg/日による治療を開始したところ,脈絡膜剥離は徐々に改善し,第79病日に視力は右1.2(矯正不能),左0.4(矯正不能)に快復,退院となった。この経過中,漿液性網膜剥離は出現せず,脈絡膜剥離は徐々に消退し(図2右眼),のちに螢光眼底像で示される脈絡膜顆粒状色素沈着を残した。
原田病は多彩な眼底所見をとることを示している。