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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科54巻12号

2000年11月発行

文献概要

臨床報告

加齢黄斑変性症から生じた広範囲網膜剥離の2例

著者: 築城英子1 大庭啓介1 北岡隆1 芦忠陽1 竹原昭紀1 田中陽子1 津田恭央1 齋藤了一1 雨宮次生1

所属機関: 1長崎大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1809 - P.1813

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 加齢黄斑変性症の2症例に広範囲網膜剥離をきたした。症例1は79歳男性で,左眼に裂孔原性網膜剥離を認めた。網膜下増殖組織の牽引により黄斑部の下方に裂孔が形成されていた。硝子体切除術を施行し,網膜下増殖組織を除去し網膜は復位した。症例2は82歳男性で,初診時,左眼に色素上皮剥離を伴う加齢黄斑変性症が存在し,9か月後,左眼血管アーケード耳側に網膜下増殖組織と色素上皮剥離をきたし,下方に広範囲漿液性網膜剥離が存在し,硝子体切除術を施行した。網膜下組織の牽引を除去し,網膜下新生血管からの漏出点に網膜光凝固を行い網膜は復位した。症例1は網膜下増殖組織の牽引により網膜に裂孔を形成し,症例2は網膜下増殖組織の牽引のため新生血管からの滲出が促進され,生じたものと推測した。加齢黄斑変性症から生じる網膜剥離は,網膜下増殖組織により異なった機序で起こりうる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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