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リポート
「第1回国際シルクロード病(ベーチェット病)患者の集い」を終えて
著者: 西田朋美12 大野重昭3
所属機関: 1済生会横浜市南部病院眼科 2横浜市立大学医学部眼科学教室 3北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座視覚器病学分野
ページ範囲:P.1917 - P.1921
文献購入ページに移動ベーチェット病とは,国の難病に指定されている疾患であり,眼,皮膚,口腔内,関節,消化器,外陰部など,全身に反復性の炎症,潰瘍をもたらす疾患である。また,その世界的な発症分布をみた場合,いわゆるシルクロード沿いに多く,「シルクロード病」と呼ばれることもある。なかでも,眼の炎症は網膜ぶどう膜炎をきたすことが多く,重症な場合は失明することもあり,眼科領域では名の知られた疾患である。しかし,一般社会ではこの病名や病気の実態はほとんど知られていないのが実状である。
今回,私どもは世界で初めての試みである「第1回国際シルクロード病(ベーチェット病)患者の集い」を2000年5月19日から22日まで,神奈川県葉山町において開催した。これは現在,厚生省ベーチェット病調査研究班班長を勤める大野重昭が国際ベーチェット病会議に継続して出席し,毎回諸外国から勉強熱心な患者さんが集まってきているのに,どうして交流の機会が与えられていないのだろうという疑問がきっかけで,企画が立ち上がることになった。この企画を通じ,少しでも多くの方々にこの病気のことを正しく理解していただき,さらに国境や地域を超えて,同じ病気で悩む患者さん,患者さんご家族,医療従事者の意見交換,現状報告,これからの展望などに関して大いに語り合うことが目的であった。
結果として,参加総数316名,参加国数18か国という,初回にしては大盛況のうちに終えることができた。また,集いの報告を韓国ソウルで行われた「第9回国際ベーチェット病会議」で報告させていただいたが,その成果が認められ,2002年6月27日から29日に第10回国際ベーチェット病会議と併せて,第2回国際ベーチェット病患者の集いが開催されることが正式に決定された。
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