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連載 眼科図譜・368
混合性結合組織病患者にみられた角膜穿孔の1例
著者: 田中恵子13 松尾俊彦1 永山幹夫1 大月洋1 井上康2 小郷卓司2
所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室 2井上眼科 3田中眼科
ページ範囲:P.239 - P.241
文献購入ページに移動混合性結合組織病(mixed connective tissuedisease:MCTD)は膠原病の1つで,全身性エリテマトーデス(SLE),進行性全身性硬化症,多発性筋炎の臨床症状を部分的に併せ持つ疾患である。その診断は,血清学的にSLEに特異的な抗Sm (Smith)抗体や抗2本鎖DNA抗体を持たず,抗RNP(ribonucleoprotein)抗体のみが単独高値を示すことで確定する。臨床症状はレイノー現象,ソーセージ様手指,関節痛,皮膚の硬化,肺高血圧症などがみられる。
膠原病に合併する角膜潰瘍は,通常角膜周辺に深い潰瘍を形成することが多い1,2)。また角膜潰瘍を伴う膠原病としては慢性関節リウマチ,Wegener肉芽腫においての報告が多く,MCTDに合併した報告はほとんどない3)。今回筆者らは,MCTD患者に角膜中央部の潰瘍を認め角膜融解を発症し,急速に穿孔にまで至った症例を経験したので報告する。
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