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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科54巻2号

2000年02月発行

文献概要

臨床報告

滑車神経麻痺様症状を呈した遅発型重症筋無力症の2例

著者: 野中文貴12 河野玲華1 大月洋1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室 2国立岡山病院眼科

ページ範囲:P.255 - P.259

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 今回筆者らは滑車神経麻痺と診断し,斜視手術を施行した後に重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)が判明した2症例を経験した。2名とも(77歳と40歳の女性)当科受診以前より数年間,垂直方向の両眼性複視を自覚していた。上斜筋麻痺と判定するため,9方向むき眼位におけるプリズム交代遮蔽試験やHess赤緑試験Parks 3-step test,赤色ガラスを用いたHarms正切スクリーンテストによる回旋偏位の定量を行った。術後,両症例ともに麻痺眼における眼瞼下垂と垂直偏位が再発した。その後テンシロンテストを含めた神経眼科的精査により,遅発型MGと診断されるに至った。外眼筋麻痺が単一あるいは複数の外眼筋にみられる場合,単一外眼筋麻痺と誤診されやすいが,MGをも鑑別に挙げるべきと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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