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免疫不全とぶどう膜炎
著者: 望月學1
所属機関: 1東京医科歯科大学システム神経医学講座視覚応答調節学
ページ範囲:P.287 - P.290
文献購入ページに移動 サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎は,かつてはAIDS患者の約40%に合併し、その治療に苦慮した。一方,1990年代半ばに登場したHIVプロテアーゼ阻害薬と従来の抗HIV薬を併用するhighly active antiretrovirus therapy(HAART)により,末梢血HIVウイルス量の減少とCD4陽性リンパ球数の上昇などの細胞性免疫の回復が得られるようになった。これに伴い,AIDSにおけるCMV網膜炎罹患率は半減し,さらに,CMV網膜炎の再発も著しく減じた。ごく最近,HAARTにより細胞性免疫が回復したAIDS患者のCMV網膜炎罹患眼に,CMV網膜炎の再発とは異なる硝子体炎を主症状とするぶどう膜炎(immune recovery uveitis)が生じることが話題となっている。このようなAIDSとCMV網膜炎に関する最近の話題についてレビューした。
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