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連載 眼の組織・病理アトラス・162
乳頭周囲網脈絡膜萎縮
著者: 久保田敏昭1 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.500 - P.501
文献購入ページに移動 乳頭周囲にみられる網脈絡膜萎縮は,正常眼でも観察されるが,近視眼や緑内障眼では明瞭に,しかもより広い範囲で観察され,これを乳頭周囲網脈絡膜萎縮parapapillary chorioretinal atropyと呼ぶ。これは,絶対緑内障で観察されるので,かっては緑内障輪halo glaucomatosusと呼ばれていた。しかし,乳頭周囲網脈絡膜萎縮は,晩期緑内障だけでなく,早期の緑内障眼でも高頻度にその面積が増加していることがJonasら1)によって示された。乳頭周囲網脈絡膜萎縮は,α領域とβ領域に分けられる。α領域は検眼鏡的に乳頭縁から遠位にある色素のむらの部位で,β領域は乳頭縁の近位にあり,強膜あるいは脈絡膜の血管が透見できる部位である(図1)。いずれも緑内障眼における傍中心暗点の拡大と密接に関係している。
α領域は,光学顕微鏡では,網膜色素上皮細胞が不規則になり,細胞内に多量の黒色色素を含んでいる。視細胞は存在するが,その数が減少している。これに対しβ領域は,網膜色素上皮細胞が完全に消失して,ブルッフ膜が網膜下に露出した形になっている(図2)。ここでは,視細胞の数が著しく減少している。
α領域は,光学顕微鏡では,網膜色素上皮細胞が不規則になり,細胞内に多量の黒色色素を含んでいる。視細胞は存在するが,その数が減少している。これに対しβ領域は,網膜色素上皮細胞が完全に消失して,ブルッフ膜が網膜下に露出した形になっている(図2)。ここでは,視細胞の数が著しく減少している。
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