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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科54巻4号

2000年04月発行

文献概要

特集 第53回日本臨床眼科学会講演集(2) 学会原著

糖尿病黄斑症に対して内境界膜除去は必要か

著者: 田中稔1 邱彗1 竹林宏1 清川正敏1 小林康彦1 土方聡2 林真3

所属機関: 1順天堂大学浦安病院眼科 2船橋市立医療センター眼科 3薬園台眼科

ページ範囲:P.521 - P.524

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(R2-7PM-5) 増殖糖尿病網膜症,虹彩ルベオーシス,硝子体出血,び漫性黄斑浮腫のある49歳男性の左眼に硝子体手術を行った。後部硝子体剥離を作製し,内境界膜は除去しなかった。び漫性黄斑浮腫は消失し,視力は手動弁から0.01に改善した。同様な網膜症のある右眼には手術を行わなかった。1年後に全身状態が悪化して死亡した。摘出した右眼(非手術眼)では,電子顕微鏡による検索で,内境界膜とミューラー細胞が浮腫状を呈し,硝子体側に肥厚した膜があった。左眼(手術眼)では,内境界膜の肥厚と多数の円形の空胞があり,ミューラー細胞に浮腫はなく,網膜内層の浮腫も右眼よりもはるかに軽度であった。内境界膜を切除しなかった左眼に網膜浮腫の改善があったことと,浮腫状に肥厚した内境界膜の切除が実現困難であることから,糖尿病黄斑症での内境界膜の除去は必ずしも必要でないと結論される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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