特集 第53回日本臨床眼科学会講演集(3)
原著
眼トキソカラ症におけるToxocaraCHEKの有用性
著者:
田口千香子1
杉田直1
棚成都子1
浦野哲1
吉村浩一1
疋田直文1
山川良治1
高瀬博2
望月學2
赤尾信明3
所属機関:
1久留米大学医学部眼科学教室
2東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科視覚応答調節学教室
3東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学系専攻国際健康開発講座国際環境寄生虫病学分野
ページ範囲:P.841 - P.845
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(R1-9AM−4) ToxocaraCHEKを用いて血清と眼内液の抗トキソカラ幼虫抗原排泄物に対する抗体を測定し,その有用性についてELISAと比較検討した。対象は眼トキソカラ症の硝子体4例,血清12例と,他のぶどう膜炎と黄斑円孔の硝子体9例を用いた。眼トキソカラ症の硝子体は4例すべて両検査法で抗体陽性であった。血清抗体陽性率は両検査間で有意差はなかったが,疑陽性率はToxocaraCHEKが高く,逆に陰性率はELISAで高かった。その中で血清抗体は陰性で,硝子体抗体のみ陽性を示したものが1例あった。また,対照群の硝子体は両検査法ですべて陰性であった。以上からToxocaraCHEKはELISAとほぼ同等の感度があり,検査は迅速かつ簡便なため有用であり,また硝子体サンプルの検査が診断率向上に有用であると考えられた。