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特集 第53回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著
胞巣状軟部肉腫と診断した小児眼窩腫瘍の1例
著者: 赤木忠道1 本田治1
所属機関: 1静岡市立静岡病院眼科
ページ範囲:P.1195 - P.1198
文献購入ページに移動(P−2-3) 眼窩の胞巣状軟部肉腫は大変稀であり,世界的にも報告例は多くはない。眼瞼腫脹と流涙で発症し,急速に増大した1歳半女児の眼窩腫瘍を経験した。CTでは骨浸潤を伴わない眼球外後方の眼窩内腫瘍で,MRIでは腫瘍内にflow voidを認めた。病理組織学的には胞巣状構造を有し,明瞭な核小体を持つ類円形核を有する腫瘍細胞で,針状結晶は認められなかったが,その前駆物質と考えられているジアスターゼ耐性PAS陽性の顆粒をわずかに認めた。免疫組織化学的にはα-smooth muscle actin,desminなどの筋肉markerやHMB-45, S-100蛋白などが陰性であることより,横紋筋肉腫や明細胞肉腫を除外した。特徴的な針状結晶は確認できなかったが,臨床経過,画像および針状結晶以外の病理所見より胞巣状軟部肉腫と診断した。
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