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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科54巻6号

2000年06月発行

文献概要

特集 第53回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

角膜上皮肥厚の1例—病理所見の検討

著者: 芦忠陽1 栄田裕子1 雨宮次生1

所属機関: 1長崎大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1217 - P.1220

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(P−2-41) 左眼角膜中央部に6×5mm白色隆起性病変と血管の進入がみられ,視力低下をきたした70歳女性に角膜移植術が施行された。光学顕微鏡では角膜上皮細胞は配列が不整で,基底細胞の丈が高く,ボウマン膜も不整であった。実質のコラーゲン線維は不規則で,炎症細胞の浸潤がみられ,血管も存在した。電子顕微鏡では複数の大きな核小体を持った核がみられた。上皮細胞質は小胞体が開存し,核が大きかった。デスモゾームは多数みられたが,一部には少ない細胞も存在した。上皮細胞の中には壊死細胞がみられ,細胞膜を失った線維細胞がみられた。以上より,本症例は角膜上皮細胞増殖であると診断した。このような病理所見は糸状角膜炎に極めて類似していた。ボウマン膜の近くの炎症性病変によって角膜上皮細胞の増殖を起こしたと推測した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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