icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科54巻6号

2000年06月発行

文献概要

臨床報告

著明な網膜および脈絡膜の循環障害を認めた樹氷状血管炎の1例

著者: 松田吉人1 近藤由佳1 尾関年則1 小椋祐一郎1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1287 - P.1291

文献購入ページに移動
 症例は24歳の男性で,2日前からの急激な視力低下を主訴として受診した。初診時,視力は両眼とも手動弁,両眼底には網膜血管の白鞘化,網膜出血,黄斑浮腫があり,樹氷状血管炎に相当する所見であった。フルオレセイン蛍光造影(FA)では,広範な毛細血管の閉塞網膜血管からの蛍光漏出,血管壁の染色がみられ,網膜血管の血流は周辺部で途絶し,インドシアニングリーン蛍光造影(IA)では造影される脈絡膜血管の数は後極部で少なく,脈絡膜は全体的に低蛍光を示した。アシクロビル,プレドニゾロン,アスピリンの全身投与を行ったが,網膜および脈絡膜の循環障害が進行したため汎網膜光凝固術を行い,眼底病変は鎮静化したが,初診2か月後の視力は右眼0.04,左眼0.03とわずかに改善したにとどまった。樹氷状血管炎でも本症例のように視力予後不良な症例もあり時その予後を判断するためにはFAだけでなくIAも必要と考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら