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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科54巻8号

2000年08月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・166

網膜剥離と視細胞のアポトーシス

著者: 猪俣孟1 向野利彦1 田原昭彦2 高比良健市3

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2産業医科大学眼科学教室 3下関市高比良眼科

ページ範囲:P.1418 - P.1419

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 感覚網膜が網膜色素上皮細胞層から長時間剥離していると,視細胞は変性または消失して(図1),重篤な視機能障害を残す。視細胞の内節が残っていれば,網膜が復位した場合に,外節の再生は多少とも可能である。しかし,すでに内節が変性したものでは,視細胞そのものが死滅消失する(図2)。視細胞消失の原因は,感覚網膜が網膜色素上皮層と離れることによる網膜外層の虚血もあるが,その他にアポトーシスapoptosisが重要な一因である。剥離網膜における視細胞のアポトーシスは,TUNEL(terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated biotinylated deoxyuridine triphosphate nickend labeling)法を用いて,ヒトおよび実験動物で証明されている。ヒトの外傷性網膜剥離では,外傷後8時間ですでに視細胞のアポトーシスがみられるという。
 近年,アポトーシス誘発因子apoptosis-inducingfactor(AIF)がミトコンドリア内膜と外膜の膜間腔intermembrane spaceに存在することが明らかにされている。AIFの分子量は57kDで,AIFの塩基配列と緑膿菌の酸化還元酵素oxidoreductaseの塩基配列が高い相同性を有している。もともと細胞内のミトコンドリアは,約20億年前にバクテリアが真核細胞に侵入したものであり,私たちの身体は真核細胞とバクテリアが共生した細胞で構成されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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