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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科54巻9号

2000年09月発行

連載 眼の組織・病理アトラス・167

脈絡膜欠損

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1538 - P.1539

文献概要

 脈絡膜欠損choroidal colobomaは,胎生裂em-bryonal fissureの閉鎖不全によって起こる眼先天異常である。胎生裂の両縁では眼杯の内板が早く成長するため軽度に外反している。正常の発達では,胎生裂縁が接着すると未分化な網膜の両端で融合が起こる。しかし,胎生裂の閉鎖障害がある場合には,眼杯内板の外反が著しくなり,内板が融合できなくなる。同時に外板も癒合せず,そのために網膜色素上皮細胞層およびそれと密接な関係にある脈絡毛細血管板が発達しない。欠損部では強膜も発育が悪く,網膜も形成不全を示す。
 欠損は,胎生裂に一致して,視神経乳頭,脈絡膜,毛様体,虹彩に生じる。眼杯の下鼻側に発生するものを定型的欠損と呼び,下鼻側以外のもの,例えば黄斑欠損などを非定型的欠損と呼ぶ。多くは小眼球である。これを欠損性小眼球colobomatous microphtahlmosと呼び,欠損を伴わない真性小眼球nanophthalmosと区別する。視神経乳頭小窩optic pit,朝顔症候群morning glory syndrome,先天性傾斜乳頭症候群congenital tilted disc syndromeなどはいずれも欠損性小眼球に関係する先天異常である。また,胎生裂がいつまでも閉鎖しない場合には,内板の未分化な神経外胚葉性細胞が眼球外で嚢胞を作り,先天嚢胞眼congenital cystic eye,あるいは眼窩嚢胞を伴う欠損性小眼球coloboma-tous microphthalmos with cystになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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