臨床報告
嚢胞様黄斑浮腫に対する内境界膜剥離とガスタンポナーデ
著者:
高橋京一1
宇都木憲子1
岸章治1
所属機関:
1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1555 - P.1560
文献購入ページに移動
網膜循環障害に随伴する遷延性の嚢胞様黄斑浮腫に対する内境界膜剥離とガスタンポナーデの有効性を検討した。光凝固治療にもかかわらず6か月以上びまん性黄斑浮腫が持続した糖尿病網膜症7眼,網膜中心静脈閉塞症4眼,網膜静脈分枝閉塞症1眼を対象として,内境界膜剥離を併用した硝子体手術とSF6ガスによるタンポナーデを行った。12眼中10眼で嚢胞様黄斑浮腫を合併していた。術前に5眼で後部硝子体剥離があった。手術後早期から黄斑浮腫は改善し,術後1〜7か月の間に12眼中11眼で嚢胞様黄斑浮腫は不明瞭化し,光干渉断層計では網膜外層の膨化の減少と嚢胞の縮小ないし消失が観察された。12眼中7眼(網膜中心静脈閉塞症2眼,糖尿病網膜症5眼)で視力が2段階以上向上したが,黄斑浮腫発症から手術までの期間が短いほど最終視力がよい傾向にあった。内境界膜剥離とガスタンポナーデは,遷延化した嚢胞様黄斑浮腫の改善に有効であると結論される。