臨床報告
難治性緑内障例に対するMolteno implant手術
著者:
小俣貴靖1
浜中輝彦1
矢島照紘1
石田誠夫2
所属機関:
1日本赤十字社医療センター眼科
2石田眼科
ページ範囲:P.103 - P.108
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線維柱帯切除術などの濾過手術が無効な血管新生緑内障などの難治性緑内障に対し,Molteno implantのようなシャント術が現在有効とされている。筆者らは1993年より2000年までの間に14例15眼に対し,Molteno implant術を行い良好な結果を得た。その内訳は血管新生緑内障(糖尿病網膜症4例5眼,網膜静脈閉塞症3例3眼,家族性滲出性網膜硝子体症1例1眼,ぶどう膜炎後1例1眼),虹彩角膜内皮症候群1例1眼,虹彩炎後続発緑内障1例1眼,ステロイド緑内障1例1眼,水晶体小片緑内障1例1眼,原発開放隅角緑内障1例1眼であった。術後眼圧6mmHg以上21mmHg以下は11例12眼(80.0%),21mmHg以上1例1眼(6.7%),眼球癆となった症例は2眼(13.3%)であった。上記のように80.0%は術後ほぼ良好な眼圧を保っており,Molteno implant術はこれまでの減圧術が無効である難治例に対し有効であり,良好な眼圧コントロール維持に対し効果的な方法の1つであると考えられた。