臨床眼科55巻10号

2001年09月発行

特集 EBM確立に向けての治療ガイド

網膜・硝子体疾患

特発性黄斑円孔治療のEBM

著者： 大谷倫裕¹

所属機関： ¹群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲：P.234 - P.241

文献概要

現在行われている特発性黄斑円孔への治療
　1．特発性黄斑円孔の発生機序
　黄斑円孔は硝子体皮質の中心窩への牽引によって起こる^1）。黄斑前方には後部硝子体皮質前ポケットがあり，後極の硝子体皮質はゲルから分離した薄い線維膜として存在する^2）。この硝子体皮質が収縮すると弧が弦になろうとする前方へのベクトルが発生する。そのため硝子体皮質は黄斑部から剥がれようとするが，中心窩と視神経乳頭では硝子体と網膜との癒着が強いため，そこでの接着は維持される。硝子体皮質は中心窩で接着し，その周囲で剥離することで慢性的な牽引を中心窩に及ぼすと考えられる。