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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻11号

2001年10月発行

文献概要

臨床報告

ぶどう膜炎として治療していた眼悪性リンパ腫の1例

著者: 阿部恵子1 林振民1 平岡利彦1 筑田眞1 小島孚允2

所属機関: 1獨協医科大学越谷病院眼科 2大宮赤十字病院眼科

ページ範囲:P.1771 - P.1775

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 52歳の女性が3週前からの左眼の視力低下で受診した。2年6か月前に右眼硝子体出血のため硝子体手術を受けた既往がある。家族歴として姉に肺サルコイドーシスがあった。初診時の矯正視力は両眼とも1.2であった。左眼には前房に細胞浮遊,雪玉状の硝子体混濁,静脈白鞘,黄白色の結節と滲出斑があった。右眼には網膜光凝固瘢痕があった。血液の諸検査と肺生検などでサルコイドーシスは否定された。ステロイド薬の点眼と全身投与で硝子体混濁が軽快したが,初診から5か月後に左眼視力が0.1に低下した。強い硝子体混濁があり,眼底に黄白色滲出斑が広範囲にあった。蛍光眼底造影で脈絡膜腫瘍が疑われた。硝子体手術で得られた硝子体細胞診でpapanicolaou class Ⅲbであり,眼悪性リンパ腫と診断された。放射線療法で腫瘍は瘢痕化し,0.6の最終視力が得られた。眼悪性リンパ腫がサルコイドーシス類似の所見を呈した仮面症候群の例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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