icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻3号

2001年03月発行

文献概要

今月の表紙

全脈絡膜萎縮症の蛍光眼底写真

著者: 西村治子1 玉井信2

所属機関: 1公立昭和病院眼科 2東北大学眼科

ページ範囲:P.251 - P.251

文献購入ページに移動
 患者は30歳の男性で,1997年3月ころに右眼に変視症が出現し,3月7日に当科を受診した。視力は右0.9(矯正不能),左1.0(1.5×0.5D cyl−0.25DAx90°)で,視野検査では両眼ともに狭窄,沈下があった。眼底は健常網膜を黄斑部にのみ残す,広範な脈絡膜萎縮を認めた。血清オルニチンは正常であり,保因者である母親に特徴的な斑紋上眼底を認めたため,全脈絡膜萎縮症と診断された。本症はX染色体遺伝性の,びまん性のtotal choroidal vascular atrophyと規定される脈絡膜ジストロフィの一型であり,男性のみに発生する。眼底には初期からびまん性の網膜色素上皮と脈絡膜毛細血管板との萎縮,消失が発生し,脈絡膜の中血管,大血管が透見されるようになる。この時期でも網膜内層や視神経は比較的健常に保たれているこの蛍光眼底写真では,黄斑部を除く部位では色素上皮と脈絡膜毛細血管板の萎縮,消失があるため,脈絡膜の血管造影像が明瞭に認められる。黄斑部は色素上皮と脈絡膜毛細血管板が残存しているため,脈絡膜血管は見えない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら