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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻3号

2001年03月発行

文献概要

連載 眼の遺伝病・19

RDH5遺伝子異常と眼底白点症(3):RDH5とは

著者: 玉井信1 和田裕子1

所属機関: 1東北大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.255 - P.257

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 前2回にわたって眼底白点症の遺伝子異常と臨床症状について症例を呈示したが,今回はRDH5とは何かについて解説する。
 すでに本シリーズ14の「アレスチン遺伝子異常と網膜変性(2)」で示したように,視サイクルと呼ばれる視物質の代謝回路には多くの酵素が関与している1)。その1つが11—cis retinol dehydrogenase(RDH5)である。ビタミンA代謝の最終段階の発色団(chromophore)形成段階で,その異性体である11—cis retinoiを11—cis retinalに変換するところで働く。11cis-retinalはCRALBP (cellularretinaldehyde binding protein)と結合して色素上皮から網膜下腔に出され,その後IRBP (interphoto—receptor retinol binding protein)と結合し,視細胞外節へと運ばれる(図1)。視細胞外節ではオプシンと結合して外節円盤に取り込まれ,光刺激によりこの11—cis retinaldehydeの11—cisの部分がall—transに異性化し,これが視細胞内で光刺激のエネルギーが電気的な信号に変換される一連の反応(phototransduction cascade)の最初のステップになる。図1に示すように,その後11-cis retinalはall-trans retinolに還元され,これはIRBPに結合して外節から運び出され,色素上皮に取り込まれ,色素上皮内で代謝される。色素上皮内でall-transretinolから11-cis retinolに異性化された後,11-cis retinol dehydrogenaseの働きで酸化されて11-cis retinaldehydeとなり,再び視細胞に戻される。RDH5は32-kDaのミクロゾームの細胞膜に存在する酵素で,色素上皮に発現していることがわかっていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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