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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻3号

2001年03月発行

文献概要

特集 第54回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

正常遺伝子型を持つ色覚異常例の解析

著者: 山出新一1 小田早苗1 田中敬2 上山久雄2 田辺詔子3 林孝彰4

所属機関: 1滋賀医科大学眼科学教室 2滋賀医科大学生化学第2教室 3名古屋第一赤十字病院眼科 4米国ワシントン大学医学遺伝学教室

ページ範囲:P.265 - P.269

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 先天(赤緑)色覚異常の遺伝子レベルでの解明が進み,色覚異常の遺伝子型と表現型(臨床診断)とは1対1に対応するかのように考えられている。筆者らは167例の先天色覚異常の遺伝子を解析した。122例(73.1%)では遺伝子型はその表現型と一致したが,残りの45例では解決すべき問題点が残った。赤緑どちらの遺伝子も持つ正常遺伝子型のケースが19例存在した。PAが3例,Dが3例,DAが13例であった。これらのケースを詳細に解析すると,正常遺伝子型の第2異常の16例中14例(88%)に緑遺伝子のプロモーターの-71の位置にアデニン(A)がシトシン(C)に置き換わっている変異(A-71C)が認められた。この変異は他の異常例や正常色覚例にも存在したが,有意に低い頻度であった。トランスフェクションおよびゲルシフトアッセイにより,A-71Cを持つプロモーターの転写活性が野生型と比べて50%程度に低下していることがわかった。この変異は第2異常の発症と密接に関連していると推測できる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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