特集 第54回日本臨床眼科学会講演集(1)
原著
白内障手術後の糖尿病黄斑浮腫の病態と進展予測
著者:
船津英陽1
清水えりか1
野間英孝12
山下英俊3
三村達哉14
中西雄一郎1
春山賢介1
中村新子1
今野泰宏1
北野滋彦1
堀貞夫5
所属機関:
1東京女子医科大学糖尿病センター眼科
2広島大学医学部眼科学教室
3山形大学医学部眼科学教室
4NTT関東病院眼科
5東京女子医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.271 - P.275
文献購入ページに移動
白内障手術後の糖尿病黄斑浮腫(黄斑浮腫)進展の病態を解明するために,白内障手術時に前房水を採取した2型糖尿病患者44例(44眼)を対象に,6か月間の経過観察にてコホート研究を行った。予後因子として,前房水中のvascular endothelial growth factor (VEGF)とinterleukin-6(IL−6)濃度,黄斑前の後部硝子体の状態,前房蛋白濃度,1年間のHbA1c平均値,罹病期間を取り上げた。白内障手術6か月後の黄斑浮腫の推移は,悪化26%,不変56%,改善19%であった。黄斑浮腫進展に関与する因子としては,前房水中のVEGFとIL-6濃度,黄斑前の後部硝子体の状態,前房蛋白濃度があげられ,これらの要因は黄斑浮腫進展において相互に関与していることが示唆された。