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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻3号

2001年03月発行

文献概要

臨床報告

線維柱帯切除術後に生じた脈絡膜血腫の1例

著者: 山田寿真子1 杉田美由紀1 大野重昭12

所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室 2北海道大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.365 - P.368

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 59歳男性が右眼の高眼圧で紹介を受け受診した。幼少時から両眼に-7.5Dの近視があった。左眼は35歳の頃失明し,受診時には水晶体全脱臼と網膜全剥離があった。右眼には水晶体摘出術と線維柱帯切開術の既往があった。薬物治療で右眼眼圧が48mmHg以下に下降しないため,マイトマイシンC併用の線維柱帯切除術を行った。術翌日の眼圧は3mmHgの低眼圧で前房の形成があったが,脈絡膜剥離が内方周辺部にあり,以後これが増悪して胞状の脈絡膜全剥離になった。術後19日目の磁気共鳴画像検査MRIで脈絡膜血腫が同定された。以後眼圧は15mmHgに維持され,血腫は術後50日で消失し,術前の手動弁の視力が0.4に改善した。この脈絡膜血腫は駆逐性出血に準じる機序によって生じたと解釈され,術前の高眼圧,無水晶体眼,強度近視,加齢,術後の低眼圧が危険因子として関係したと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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