文献詳細
特集 第54回日本臨床眼科学会講演集(2)
原著
文献概要
眼表面温度への涙液の関与を検討した。対象は,眼疾患がない20代から50代の34人で,涙液分泌減少12人を含んだ。医用サーモグラフィ(日本アビオニクス社)を眼前20cmから,開瞼を維持させ,直後,5,10,15秒後の順に測定した。眼表面は部位により温度差があり,上眼瞼鼻側が最も高温で,涙丘付近の眼球結膜が続いた。角膜はこれらの箇所より1.5℃以上低く,開瞼に伴い低温化したが,上方からの涙液に覆われると温度上昇した。涙液分泌減少例では開瞼持続に伴い表面温度の較差が大きくなった。涙液は眼表面の湿度とともに温度の恒常性に役立っており,サーモグラフにより涙液の動的な観察ができた。
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