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特集 第54回日本臨床眼科学会講演集(2)
原著
文献概要
3か月間に白内障手術と眼内レンズ(intraocular lens:IOL)挿入術を59眼に行った。ハイロドジェルIOL (H60M, Storz社)を43眼,S140NB (Allergan社)を16眼に挿入した。年齢と性別について、両群間に有意差はなかった。術後3か月間の経過を追跡した。術後の矯正視力と角膜内皮細胞密度について,両群間に有意差はなかった。術翌日の前房フレア値の平均値は両群で上昇したが,H60M群でのそれはS140NB群よりも有意に高かった(t<0.05)。前群43眼中11眼ではフレア値が50を超え,うち4眼では100以上であり,2眼でフィブリン反応が生じた。これら11眼では,特定の2つのロットのIOLが関与していた。術前のフレア値が高い症例で術後のフレア値上昇が強かった。術後1週以降では,両群間に前房フレア値には差がなかった。ハイロドジェルIOL挿入後には一過性の前房フレアの上昇がありうることと,術前のフレア値が高い症例では挿入を回避すべきであると結論される。
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