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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻5号

2001年05月発行

臨床報告 カラー臨床報告

黄斑円孔手術後に脈絡膜新生血管を生じた症例

著者: 池上英里子1 山田晴彦1 永井由巳1 高橋寛二1 西村哲哉1 松村美代1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.732 - P.737

文献概要

 69歳の女性が1年前からの右眼視力低下で受診した。矯正視力は右0.02,左0.7であった。右眼に傾斜乳頭症候群とGass分類4期の黄斑円孔があり,左眼には白内障以外には異常がなかった。右眼に超音波水晶体乳化吸引術,眼内レンズ挿入術,硝子体手術、円孔底擦過術,SF6ガス注入を行った。黄斑部網膜に膜様物はなかった。これにより円孔は閉鎖した。術後8か月目の右眼矯正視力は0.1で、円孔部は色素塊で閉鎖し,その周囲の網膜下に線維化した新生血管板があった。手術的に除去した新生血管板は,中心窩下に網膜色素上皮と思われる色素細胞が集積し,膠原線維が豊畠な線維血管組織であった。本症例で脈絡膜新生血管が生じた理由として,傾斜乳頭症候群による黄斑部のBruch膜の脆弱化と,手術時の円孔底擦過によるBruch膜の障害とが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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