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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻5号

2001年05月発行

文献概要

特集 第54回日本臨床眼科学会講演集 (3) 原著

眼窩腫瘍(緑色腫)として発症した急性骨髄性白血病の2症例

著者: 金森章泰1 齋藤和子1 安積淳1 井上正則1 根木昭1 大林千穂2

所属機関: 1神戸大学医学部眼科学教室 2神戸大学医学部附属病院病理部

ページ範囲:P.971 - P.976

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 眼窩緑色腫として初発した急性骨髄性白血病の2症例を経験した。1例は15歳女児で,右眼の眼球突出で初発し,炎症性眼窩偽腫瘍としてステロイド薬内服で治療し寛解した。治療終了の3週後に再燃し,生検で悪性リンパ腫の疑いとされた。放射線照射で腫瘍は消失した。6年後に腹部に巨大腫瘤が生じ,腹水と血液から急性骨髄性白血病(FAB分類M2)と診断された。6年前の病理組織の再検討で,眼窩腫瘍は緑色腫と確定した。他の1例は2歳男児で,両側の眼球突出が生じ,中頭蓋底から両眼窩を含む深部顔面骨に浸潤する腫瘍が発見された。両側の視神経を絞扼しているため,脳神経外科で腫瘍を切除した。病理診断は緑色腫であり,急性骨髄性白血病(FAB分類M3)と確定した。両症例とも急性骨髄性白血病の全身症状はなく,診断は困難であった。若年者の眼窩腫瘍は緑色腫である可能性があるので,血液学的精査が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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