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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻6号

2001年06月発行

文献概要

特集 第54回日本臨床眼科学会講演集 (4) 原著

Pigment epithelium derived factor(PEDF)の硝子体内濃度

著者: 緒方奈保子1 西村哲哉1 松村美代1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室 2ジョージワシントン大学メディカルセンター眼科

ページ範囲:P.1077 - P.1079

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 Pigment epithelium-derived factor (色素上皮由来因子:PEDF)は,網膜色素上皮細胞から産生される蛋白で,神経栄養作用と,強力な眼内血管新生抑制作用があるとされる。硝子体手術を行った23眼で,硝子体内PEDF濃度をELISA (enzyme-linked immunosorbent assay)で測定した。内訳は,増殖型糖尿病網膜症8眼,裂孔原性網膜剥離7眼,特発性黄斑円孔4眼,その他である。PEDF濃度は,増殖型糖尿病網膜症で0.37±0.13μg/ml,裂孔原性網膜剥離で3.53±0.85μg/mlであった。特発性黄斑円孔では1.76±0.46μg/mlであり,正常値に近かった。増殖型糖尿病網膜症で硝子体PEDFが低濃度であることは,これによる眼内血管新生抑制効果が低いことを示すと思われた。裂孔原性網膜剥離で高値であることは,剥離網膜の神経細胞保護に作用している可能性があると推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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