icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻6号

2001年06月発行

文献概要

特集 第54回日本臨床眼科学会講演集 (4) 原著

網膜動脈閉塞症に対するCO2吸入療法

著者: 野田実香1 黒坂裕代1 川村真理1 増田純一2

所属機関: 1けいゆう病院眼科 2けいゆう病院麻酔科

ページ範囲:P.1244 - P.1246

文献購入ページに移動
 目的:急性期の網膜中心動脈閉塞症の治療として二酸化炭素(CO2)と酸素の混合吸入療法で,動脈血のCO2分圧を反映する終末呼気のCO2濃度を計測しながら吸入CO2濃度を調節すること。対象と方法:網膜中心動脈閉塞症4例と網膜動脈分枝閉塞症4例を対象とした。年齢は68歳から87歳で,平均76.7歳である。麻酔器を使ったマスク換気下で,CO2と酸素の混合気体を投与し,終末呼気濃度が動脈拡張に有効で安全と思われる45〜60mmHgの範囲になるように吸入CO2を調節した。1回の吸入は15分とし,日中は2時間ごと,夜間は3時間ごとに,改善が認められるまで,発症から48時間を限度として行った。全例に眼圧下降療法と血栓溶解剤などの点滴を併用した。結果:適切な吸入CO2濃度には個人差があり10〜14%で,同一症例でも変動があった。視力は網膜中心動脈閉塞症1例と網膜動脈分枝閉塞症4例で改善した。結論:呼気のCO2濃度を計測しながらCO2と酸素の混合気体を投与する新しい方法は,網膜動脈閉塞症の初期治療として有効である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?