臨床眼科55巻6号

2001年06月発行

特集 第54回日本臨床眼科学会講演集　（4） 原著

多彩な眼症状を呈した肥厚性硬膜炎の1例

著者： 斉藤信夫¹ 松倉修司¹ 気賀澤一輝¹ 赤塚一子² 浜野均³ 政所広行³ 柴田将良⁴ 鬼島宏⁵

所属機関： ¹東海大学医学部眼科学教室 ²東海大学医学部附属東京病院眼科 ³東海大学医学部神経内科学教室 ⁴東海大学医学部脳神経外科学教室 ⁵東海大学医学部病理学教室

ページ範囲：P.1255 - P.1258

　61歳女性が左眼結膜充血で受診した。左眼に虹彩毛様体炎，乳頭浮腫，毛様体扁平部の黄白色隆起性病変があり，結核が疑われた。頭痛と左側の多発性脳神経障害があり，磁気共鳴画像検査（MRI）で肥厚性硬膜炎と診断した。抗結核薬で諸症状は改善しなかった。硬膜生検で結核は否定された。ステロイドパルス療法で眼症状は著明に改善し，MRIでの硬膜肥厚は縮小した。肥厚性硬膜炎の多くは原因不明であるが，原因として結核が疑われた本例では，治療方針の決定に硬膜生検が有用であった。