特集 第54回日本臨床眼科学会講演集 (4)
原著
網膜芽細胞腫におけるtransforming growth factor—β受容体Ⅰ型レセプターの蛋白質レベルでの発現
著者:
辻英貴1
堀江公仁子2
小島孚允3
兼子耕4
山下英俊5
加藤聡6
所属機関:
1癌研究会附属病院眼科
2国立がんセンター中央病院眼科
3大宮赤十字病院眼科
4大宮赤十字病院病理部
5山形大学医学部眼科学教室
6東京大学医学部附属病院分院眼科
ページ範囲:P.1274 - P.1276
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Rb遺伝子の異常は網膜芽細胞腫の原因と考えられるが,網膜芽細胞腫細胞はTGF—βによる増殖抑制が効かず,それが悪性化のさらなる一因と考えられている。そのメカニズムを検討するためTGF—βI型受容体(TGFβRI)の蛋白質レベルでの発現を網膜芽細胞腫摘出眼8眼のパラフィン標本を用いて免疫組織学的に観察した。7眼ではTGFβRIは発現がみられなかった。未分化型の1眼の腫瘍内の血管周囲にTGFβRIの発現がみられ,腫瘍内の分化・成熟過程において異なったTGF—β受容体(TGFβR)の発現を示す可能性が考えられた。TGFβRIの発現低下が腫瘍のTGF—βに対する感受性低下に関与する可能性が推定された。