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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻6号

2001年06月発行

文献概要

臨床報告

投薬量減量で改善し治療が継続可能となった重篤なインターフェロン網膜症の1例

著者: 粕谷貴生1 中島富美子2 杉浦毅3 加藤直也4 藤野雄次郎5

所属機関: 1癌研究会附属病院限科 2大宮赤十字病院眼科 3二本松眼科病院 4東京大学医学部附属病院消化器内科 5東京厚生年金病院眼科

ページ範囲:P.1344 - P.1350

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 32歳男性の慢性C型肝炎患者に対し,インターフェロンβを600万単位(6MU)連日投与したところ,両眼眼底後極に多数の軟性白斑と網膜出血,左眼眼底に嚢胞様黄斑浮腫が出現し,矯正視力右眼0.7,左眼0.15に低下した。フルオレセイン蛍光眼底造影にて,軟性白斑に一致した低蛍光と網膜静脈からの著明な蛍光漏出がみられた。患者の強い希望のため投与を中止せず,投与量を3MU週2回投与に減量したところ,網膜症が改善し視力も両眼矯正視力1.0に回復した。減量後も約2か月間,C型肝炎ウイルス陰性が維持された。インターフェロン投与により重篤な視力障害をきたした場合でも,一律に投与を中止するのみでなく慎重な経過観察を行いながら,減量して投与を継続することも選択肢として考慮されるべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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