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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科55巻9号

2001年09月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

全身性エリテマトーデス網膜症様眼底を呈した皮膚筋炎の1例

著者: 木枕美涼1 足立和己1 星野健1 河合江実1 高橋寛二2

所属機関: 1河内総合病院眼科 2関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1623 - P.1628

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 12歳男児に両眼の視力低下が突発し,ただちに受診した。4週前から微熱があり,2日前に筋生検で皮膚筋炎と診断された。矯正視力は左右とも0.1で,両眼眼底に出血斑を伴う大型の軟性白斑が多発していた。左眼黄斑部には桜実紅斑があった。眼底所見は全身性エリテマトーデス(SLE)のそれに酷似していた。ウロキナーゼによる線溶療法とステロイド薬のパルス療法は無効であった。呼吸困難などの全身状態が悪化し,初診の2週後に血漿交換療法とシクロスポリンによる免疫抑制薬投与を開始した。これにより全身状態が急速に改善し,それまでのCPK値も降下した。網膜毛細血管の閉塞は改善し,網膜血管新生はなかった。初診から9か月後の矯正視力は右1.2,左0.1であり,発症から14か月の現在再発はない。皮膚筋炎でSLEに似た網膜病変が発症し,血漿交換療法と免疫抑制薬投与が奏効した1例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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