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臨床報告
外表徴候に乏しいマルファン症候群の1例
著者: 向所真規1 瀧畑能子1
所属機関: 1滋賀県立小児保健医療センター眼科
ページ範囲:P.1473 - P.1476
文献購入ページに移動 3歳児健診で弱視が疑われて眼鏡を処方された3歳8か月の男児が精査を希望して受診した。近視があり,両眼とも水晶体が外上方に偏位していた。高身長,大動脈弁輪の拡大,関節の過進展があったが,くも状の指はなく,尿の生化学的所見は正常であった。家族内には特記すべき病変はなかった。以上からマルファン症候群の不全型として経過を観察した。6歳のときDNA診断でフィブリリン1遺伝子に異常が発見され,マルファン症候群の診断が確定した。当時の眼軸長は右24.0mm,左23.4mmであり,体型からは本症候群に特有な外表徴候を欠如している。両眼の水晶体偏位がある場合には,外表徴候が乏しくてもマルファン症候群を想定して全身的な検査を進める必要があり,DNA解析がその決め手になりうることを示す症例である。
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