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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻10号

2002年09月発行

臨床報告

色素性萎縮巣を有する後天性眼トキソプラズマ症の1例

著者: 八代成子1 武田憲夫1 元木竜一1 北里久美2 上原淳太郎1

所属機関: 1国立国際医療センター眼科 2東京女子医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1485 - P.1490

文献概要

 68歳男性が3か月前からの左眼霧視で紹介され受診した。進行した胃癌に対して胃全摘術と脾摘出術を2年前に受け,その後化学療法が行われている。ペット飼育歴などはない。矯正視力は右1.2,左0.3で,右眼には異常所見がなく,左眼に乳頭の軽度腫脹と黄斑浮腫,後極部の出血,硝子体混濁があった。左眼鼻側周辺部に小円形の色素性萎縮巣と,これに接して3乳頭径大の隆起性滲出性の黄色病巣があった。蛍光眼底造影で網膜血管炎の所見があった。抗トキソプラズマIgM抗体値のカットオフインデックスが1.8と陽性であり,アセチルスピラマイシン投与中に抗トキソプラズマ抗体値が1,024倍から4,096倍に上昇した。プレドニゾロンの全身投与で病巣部の活動性が沈静化し,矯正視力は0.8に改善した。免疫抑制状態の時期にトキソプラズマに初感染し,色素性萎縮巣を形成中に視神経乳頭炎によって視力が低下して発見された後天例と推測した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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