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虹彩分離症
著者: 相良健1
所属機関: 1山口大学眼科
ページ範囲:P.1657 - P.1657
文献購入ページに移動 本症例は64歳男性にみられた虹彩分離症である。虹彩分離症は虹彩実質が前葉と後葉の2層に分離し,線維状になった前葉の断端が前房中に浮遊している状態をさす。虹彩萎縮の稀な一型で,本邦では20例ほどしか報告されていない。原因としては老人性虹彩萎縮に伴う変化,虹彩血管硬化による変化,外傷,先天梅毒などが示唆されている。発症は60歳以降で,両眼性が多い。虹彩萎縮をきたす疾患の鑑別としてICE症候群とAxenfeld-Rieger症候群が挙げられる。ICE症候群やAxenfeld-Rieger症候群は瞳孔偏位,孔形成あるいは角膜内皮異常などを伴い,若年時に見つかることが多く,虹彩分離症との鑑別は容易である。虹彩分離症の約半数が緑内障を合併するといわれており,眼圧に注意する必要がある。
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