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染色体転座t(3;14)(q27;q32)をもった結膜悪性リンパ腫
著者: 安積淳1
所属機関: 1神戸大学眼科
ページ範囲:P.1764 - P.1764
文献購入ページに移動 症例は,48歳男性。左の眼瞼腫脹を訴えて近医を受診したところ,結膜の悪性リンパ腫を疑うということで神戸大学眼科に紹介された。外来手術で結膜生検を行ったが,その際,病理組織検査に加えて遺伝子検査,フローサイトメトリー,染色体検査を行った。病理組織学的にはmarginal zone B cell lymphoma of mucosa associated lymphoid tissue type (MALTリンパ腫)と回答された。免疫グロブリン遺伝子の再構成は陽性で,フローサイトメトリーによる細胞表面マーカの検索でもCD5-,CD10-,CD20+,smIg-M+でsmIg-λが優位であり,病理診断をサポートする結果であった。しかし染色体検査では染色体転座t (3;14)(q27;q32)が認められた。
この染色体転座は,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫や濾胞性リンパ腫にみられることが知られており,MALTリンパ腫での報告はない。この結果が病理診断に投げかける問題はさておき,臨床的には,本症例が一搬的な結膜のMALTリンパ腫とは異なる臨床経過をとる可能性が危惧される。
この染色体転座は,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫や濾胞性リンパ腫にみられることが知られており,MALTリンパ腫での報告はない。この結果が病理診断に投げかける問題はさておき,臨床的には,本症例が一搬的な結膜のMALTリンパ腫とは異なる臨床経過をとる可能性が危惧される。
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